研究概要 |
1.マグネシウム合金薄板材の成形条件 半溶融双ロールキャスターを用いて,マグネシウム合金薄板材の製造が可能な条件を求めた.使用した材料は,AZ31D, AM50A, AM60B, AZ91Dの4種類である.AZ31Dについては,ロール速度15-25m/min,注湯温度,625℃,AZ91Dについて,ロール速度15-30m/min,注湯温度,595-600℃,AM50A, AM60B,については,ロール速度15-25m/min,注湯温度,615-630℃,が適切な製造条件であることを見出した. これらの製造条件で成形された板材の平均結晶粒径は,20-40μmであり傾斜冷却板によって急冷凝固され,組織が微細化していることが判明した. 2.半溶融双ロールキャスターにおけるメニスカス ロールキャスターにおけるメニスカスは,安定した鋳造を行うために不可欠な要素であるが,液面の高さをロールより,2mmの高さに設定することで安定化を図った.また,幅80mmの板材を作成するため,ノズルの形状を工夫し用湯の供給量を安定化させた.この結果,得られた板材の平均板厚は,注湯温度が625℃,速度が15m/minの場合,AM50B材の一例であるが,平均板厚が3.58mm±0.5mmとなった.板厚の誤差率は14%程度であるが,ストリップキャスティングで得られた板材を温間圧延するには何ら精度上は問題はない. 3.温間プレス成形条件と成形品 AZ31,AZ61,AZ91,AM60の各種マグネシウム合金について,得られた板材を温間で圧延を行い塑性加工性の調査を行った.鋳造用合金であるAZ91D, AZ31B温間圧延の際には比較的表面性状が良好で耳割れも少なく,温間圧延には適していることが明らかになった.一方,AM50A, AM60Bについてはロールキャスターによる薄板の作製の条件が影響していることが判明した.一例として,350℃で温間圧延を繰り返した後,400℃で4時間炉冷したAM50A板材はLDRで2.5まで深絞りが可能であることを示した.(深絞り温度300℃) 4.有限要素法による凝固,変形解析 コントロールボリューム法を用いて,有限要素法によって物質移動を考慮した鋳造解析を行う計算プログラムを開発した.双ロールキャスターでの解析に本プログラムを適用するためには,完全凝固位置,安定稼動を与えるロール隙間,ロール回転数を明らかするために,ロールと材料の熱伝達条件をどのように与えるか調査を行った.この結果,開発したプログラムは,エネルギーの移流項を考慮しながら凝固の解析を行えることを,汎用有限要素プログラムMARCとの計算結果比較によって示した.
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