研究概要 |
交流電流パワーアンプを試作した.このアンプは周波数600kHz以上に対応し,出力が5A以上の性能であることを確認した. 交流電位差データを計測し解析するため,超高速A/Dコンバータを取り付けたパーソナルコンピュータと計測用シグナルコンディショナー,周波数発振器からなる高精度交流電位差システムを構成し,動作を確認した. S45C,SUJ2を用いて,微少スリットを持つ表面損傷モデル試験片により,表面損傷の評価試験を行った.その結果,スリットの深さと検出された交流電位差には比例関係があり,交流電位差からスリットの深さをほぼ5%程度の誤差で推定することができ精度を向上させることができた. また,交流印加電流と交流電位差の波形をパソコンで解析し,位相差を検出するアルゴリズムを提案した.このアルゴリズムはカルマンフィルタを用い,交流印加電流と交流電位差のそれぞれの正弦波の振幅,周波数,位相,ドリフト量の4個のパラメータを推定するものとした.交流電位差法でその精度に関わり問題となる位相差は両者の位相から算出することで求めることができる. この位相検出のアルゴリズムを検証するため,信号に加わる観測ノイズの大きさ,測定の量子化誤差,サンプリング周波数と交流周波数を変化させたシミュレーションを行い,推定誤差を調べた.また,単純に移動平均をとり平滑化して推定誤差を求めた方法と比較した.その結果,サンプリング周波数10MHzとしたとき,交流周波数は600kHz程度まで推定誤差の小さい良好な結果が得られ,単純移動平均法よりも推定誤差が小さいことが示された.
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