研究概要 |
今年度の研究はべん毛モータ軸受の機構としての拡散電気二重層モデルにういての考察を行った.従来のコロイドの理論を我々の軸受に用いよ,うとすると,電場の境界条件の問題に不定性が現れることがわかった.この不定性の困難を除去する為の検討を行った.微分方程式を解く方法と同等な数学的手段を探索し,グランドポテンシャルの最小化条件が,微分方程式を適当な境界条件において解く場合とどのような関係にあるかを調べた.具体的な解析解が得られる1次元の場合についての比較検討の結果,グフンドポテンシャルを最小化する方法は,微分方程式において適当な境界条件を用いて解いた結果を再現することがわかった.この結果から,我々はグランドポテンシャルの最小化によって,求めるべき電荷分布を得ることができることがわかった. 具体的な載算は数値計算によって行った.この結果,拡散電気二重層を用いた潤滑効果は流体潤滑による潤滑に比べて数十倍の負荷容量を実現することが可能である事がわかった.この負荷容量はバクテリアべん毛モータ軸受が必要とする負荷容量を十分生成することができる. 以上の拡散電乞二重層による潤滑効果の他にも,電荷の離散性による効果についても定量的な評価を行った.この効果は軸受部に水が存在しない場合,即ち誘電率がより小さい液体が軸受部に存在する場合には有効な潤滑法であることもわかった. またべん毛モータの駆動機構に関する考察も行った.水素イオンによる駆動がナトリウムイオンによって代替することができるかどうかの考察を行い,べん毛モータ駆動機構について知見を得た.
|