本研究はすべりを伴うスクイズ運動条件下における多孔質ゴムの潤滑特性を実験的・理論的に解析することを目的としている。 本年度は以下の点に着目して研究を行った。 (1)実験装置の改良:現有の周期スクイズフィルム軸受用試験装置を改良し、多孔質ゴムを取り付けた円板を回転させる(相手面との間に相対すべる運動を発生させる)装置を付加した。 (2)測定系の作成:基準すきま、液膜圧力、液膜版力(負荷容量)、摩擦トルク、しゅう動面温度などの測定系を作成した。 (3)スラスト軸受の作成:円柱形状の多孔質ゴムならびにSolidゴム(非多孔質ゴム)を用いて、1枚のリング状パッド(ドーナツ型)および数枚の扇形パッドからなるしゅう動面を製作した。 (4)予備実験:実験装置が所定の運動を行っているか、測定系が正常に機能しているかを確認した。その結果、高回転速度で軸振れが大きくなることが確認されたため、次年度では更に改良を加えることにした。 以下に、本年度の行った研究成果をまとめる。 (1)多孔質ゴム、Solidゴムともに、加振周波数(スクイズ運動の周波数)が高くなると、液膜圧力および液膜反力の大きさは増加する。 (2)加振周波数一定のもとで回転速度(すべり面のすべり速度)が大きくなると、液膜圧力ならびに液膜反力の値は全体的に減少する。 (3)回転速度が液膜圧力、液膜反力に及ぼす影響は、加振周波数が高くなると小さくなる。この傾向は、多孔質ゴムよりSolidゴムのほうが顕著である。 (4)回転速度とともにしゅう動面の摩擦トルクは大きくなる。回転運動にスクイズ運動が加わると、スクイズ周波数に同期した摩擦トルク変動が生じる。しかし、スクイズ周波数が高くなるにつれてトルク変動の大きさ(振幅)は小さくなる。
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