研究概要 |
1.スラリージェット式摩耗試験装置を用いて、TiN, TiCN, CrNの硬質薄膜を被覆した市販のドリルとエンドミルおよびそれらと同じ製膜条件で被覆した平板試験片に、粒子径1μmの固体微粒子を3mass%含む純水を高速で衝突させ、被膜の摩耗特性評価法について研究して、以下の結果を得た。 (1)市販のドリルに被覆された硬質薄膜についても、被膜と母材を明確に区別してそれぞれの耐摩耗性を評価できること、またその結果被膜厚さも正確に計測できることがわかった。 (2)ドリルやエンドミルでは、刃の部分と柄の丸棒部分でほぼ同じ摩耗率を示した。 (3)ドリルやエンドミルに被覆された被膜と平板試験片に被覆された被膜について3〜5回の試験を繰り返して得られる摩耗率の再現性は良好で、両者の摩耗率はほぼ一致した。 (4)被膜の摩耗率は硬さが大きいほど小さく、耐摩耗性のランキングは、TiN>TiCN>CrNとなった。 (5)本評価法は工具などの製品に被覆された被膜の耐摩耗性評価の加速試験として有用であるだけでなく、工具の被膜開発や品質管理において同じ条件で製膜された平板試験片を代用して評価できることがわかった。 2,上記1と同じ試験法でSUS304に被覆されたCrN, Cr_3NiN, CrNiNについて摩耗試験を行い、ナノインデーション試験で得られる材料特性値との関係を考察した。その結果、耐摩耗性のランキングは、CrN>Cr_3NiN>CrNiNで、被膜の硬さ(測定荷重98mN)の順番と良い対応関係がみられた。
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