研究概要 |
本研究の目的はレーザーフォーカス変位計とダイヤモンドアンビルセル(DAC)高圧発生装置を組み合わせて,潤滑機械部品摩擦摩耗特性評価の基礎データである潤滑油高圧密度の加圧減圧過程,昇温降温過程履歴を解明することであるが,今年度研究実績を箇条書きの実施計画に対応させて下記に示す. 1.DACの金属ガスケットの油漏れ評価法確立:圧力室形状のモデル化と油の高圧屈折率に関する仮定に基づき高圧体積評価法を確立し,高圧密度文献値のあるメタノールなどで検定実験を行った結果,当初予想されたガスケット-ダイヤモンドアンビル間の油漏れは負荷過程ではないことがわかった. 2.圧力室(金属板ドリル穴)の変形モードの観察と金属板強度との関係解明:低圧では逆たる型形状の圧力室が超高圧ではテーパ状の形状となり,その程度は金属板強度が高いほど小さいことがわかった. 3.固化圧力付近(粘弾性域,約0.5GPa)の圧力緩和,密度変化の測定:粘弾性域では0.05〜0.1GPaの圧力緩和が見られたが密度変化はほとんどなかった. 4.密度の3GPaまでの等温負荷,除荷のヒステリシス測定:除荷過程で1GPa程度まではヒステリシスはほとんどなかったが,その圧力から常圧までで見られた.しかしながらこれは負荷時に塑性変形した圧力室が元に戻らず油の膨張で隙間があき,油が漏れることによると考えられる 5.加圧時間間隔を数十分程度で出来る限り速く加圧したときの密度:これについては今年度は予備実験にとどまったので来年度本格的に実施する.
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