窒化チタン複合改質膜によるアルミニウム合金の無潤滑加工工具の性能向上

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13650154
• 研究機関: 富山県立大学
• 研究代表者: 春山 義夫 富山県立大学, 工学部, 教授 (00019225)
• 研究分担者: 河村 新吾 YKK株式会社, 工機事業本部, 材料技術室長 ; 岩坪 聡 富山県工業技術センター, 機械電子研究所, 主任研究員 ; 塩澤 和章 富山大学, 工学部, 教授 (90019216)
• キーワード: 複合表面改質 / セラミックスコーティン / 塑性加工 / 無潤滑加工 / 窒化チタン / アルミニウム合金

研究概要

本研究は、窒化チタン複合改質膜をアルミニウム合金の無潤滑加工金型・工具へ応用することを目指して、被膜のしゅう動性能評価を行い、複合改質膜の性能向上を図るものである。得られた主な成果は以下のとおりである。
(1)窒素中しゅう動試験における損傷形態は,実際の押出しダイスに見られる損傷と似ており、本試験法は押出し加工に対する試験法として有効であると思われる。
(2)基材にプラズマ光輝窒化処理を行い、イオンプレーティングによりTiN被膜を形成した複合表面改質により、膜寿命の向上が認められる。
(3)基材の窒化処理後に焼戻し処理を行うことにより膜寿命がさらに約2倍に向上する。
(4)TiN被覆後に焼戻し処理を行っても、寿命延長効果はほとんどない。
(5)窒化処理後に焼戻し処理を行わない場合、製膜時のバイアス値、窒化層深さの変化による寿命延長の効果は認められない。
(6)窒化処理後に焼戻し処理を施した場合の被膜寿命は、バイアス値の最適化により約30%の寿命延長が認められ、窒化層深さの最適化により約10%の寿命延長が認められる。

研究成果

• [文献書誌] 河村新吾, 春山義夫, 木村好次, 塩澤和章, 小西慶明: "窒化チタン複合改質膜の性能向上に対する窒化層深さおよびバイアスの効果"日本トライボロジー学会 トライボロジー会議予稿集. 299-300 (2002)
• [文献書誌] Y.Haruyama, S.Kawamura, Y.Kimura, K.Shiozawa: "Performance evaluation of duplex treated tool steel sliding against aluminum alloy under oxidation-limited"Proceedings of the 10^<th> Nordic Symposium on Tribology. 1-10 (2002)
• [文献書誌] S.Kawamura, Y.Haruyama, Y.Kimura, K.Shiozawa: "Effect of Coating Bias and Depth of Nitrided Layer on the Life of Duplex Treated TiN Film Coated on Hot Work Tool Steel"Synopses of the 29^<th> Leeds-Lyon Symposium on Tribology. 1 (2002)
• [文献書誌] S.Kawamura, Y.Haruyama: "Study of Coating Bias and Depth of Nitrided Layer for Tribological Improvement of TiN Treatment Made on"Proceedings of International Symposium on Advanced Mechanical Engineering Workshop on Tribology. 187-188 (2002)
• [文献書誌] 春山義夫, 河村新吾, 木村好次, 小西慶明: "アルミニウム合金無潤滑加工用工具の複合表面改質膜による性能向上"日本トライボロジー学会 トライボロジー会議予稿集. 191-192 (2002)
• [文献書誌] 春山義夫, 河村新吾, 川田洋平: "各種セラミックスコーティングのアルミニウム合金を相手材とするトライボロジー特性"日本機械学会 北陸信越支部第40期総会・講演会講演論文集. 7-8 (2003)