研究概要 |
本研究では転がり軸受の潤滑診断を目的として,玉軸受の外輪とハウジングのはめ合い面に超音波を入射し,そこでの固体接触面積に応じて反射するエコー高さの変動を基に,軸受の潤滑状態や異常の内容の推定を試みた. 1.単位時間当たりのエコー高さ比の突発的な増加回数から摩耗粉の噛み込み頻度を,そこでのエコー高さ比の変化から噛み込みに伴う転動休支持荷重の増加を,エコー高さ比が増大している時間から噛み込んでいる摩耗粉の影響長さを,それぞれ,半定量的に把握可能となった. 2.予め分かっている軸にかかる装置の自重と,自重を支持している転動体の通過によるエコー高さ比の変動波形の関係だけで,転動体支持荷重とエコー高さ比の較正値を求める手順を組み込んだ、転動体支持荷重推定法を開発した. 3.深溝玉軸受の半径方向から超音波の入射が可能な軸受ハウジングの場合には,多少のハウジング表面の傾斜があったとしても,ハウジング上面に垂直探触子を設置して測定を行うことができる.また装置本体に軸受ハウジング部が内蔵されている場合などは,斜角探触子によりハウジング端面から超音波を入射することで測定が可能である. 4.軸受の異常監視を目的として、(1)の指標を総合的に評価可能なソフトにまとめ、Visual Basicにより簡便な取り扱いができるようにした異常診断ソフトのプロトタイプを完成させた.
|