本研究はオリフィスキャビテーション発光流の特性ならびに発光中に置いた物体の壊食と発光強度との関連性について調べたものである。発光特性についてはアーベル変換を用いて可視化するCT手法を示し、実験条件を系統的に変えてキャビテーション発光が起こる条件を求めた。発光強度につての実験公式を与えた。発光強度と壊食の関連性については、銅ロッドを軸上に置く新方式により研究し、発光位置と壊食位置は多少ずれるものの、壊食速度は発光強度と強い関連性をもっていることを明示した。この事実をより複雑な流れ場でも検証するために、銅平板上の円柱周りの流れに発生するキャビテーションについても研究を進めている。 オリフィスキャビテーション発光は容易に得られるが、流水中での発光は複雑である。そこで水撃波によりキャビテーション気泡を圧壊する方法を発案した。この方法によると非常に高い圧力で気泡を瞬時に圧縮でき、しかも流れはほとんどないという利点がある。実験では100気圧近い水撃圧を発生でき、発光も非常に強くなることが判明した。発光は水撃波面とともに正確に進行していくことがわかった。この結果は管路系での水柱分離とその再結合の検出に利用できるものと期待される。 理論計算は単一気泡に対して、気泡挙動計算とともに発光強度計算を行った。発光に関する非平衡計算結果は熱平衡放射計算結果と大差はない。そこで原子の電離を考慮した平衡放射理論を用いて、発光強度の理論的推算を進めた。希ガスの発光計算結果は、従来指摘された熱伝導度だけでなく電離エネルギーも強く影響していることを示した。すなわち電離エネルギーの低いキセノン、アルゴンなどでは強く発光する。一方、電離エネルギーの高いヘリウムでは空気や水蒸気気泡による発光が優勢となり、混入による発光の増大効果はあまりない。
|