研究概要 |
平成14年度の研究は前年度の継続として遂行された.研究の進展状況は以下の通りである. 目的(A)確率微分方程式によるシミュレーション 前年度に引き続き,確率密度関数法により,円管内乱流中の軸対称点源ブルームの計算を行った.また,本年度新たに,円管内乱流中の壁面上軸対称線熱源からの熱拡散場を計算した.分子混合モデルとしてはDopazoのモデルを使用した.計算結果は温度の二次モーメントまで実験とよく一致することを確認した.さらに,これまでの速度場のモデル(主流方向に一様な乱流場に対する円筒座標系での一般化ランジュバンモデル)を軸対称乱流噴流場に適用できるように拡張し,分子混合モデルとしてDopazoのモデルにより,保存スカラー場の計算が行われた.その結果,十分な精度でスカラー場の3次モーメントまでの予測ができた.これらの結果は順次学会などで公表する予定である.また,今後は2次反応乱流場の計算を行う予定である. 目的(B)ランダムフーリエモード法によるシミュレーション 本年度はランダムフーリエモード法と急激変形理論を組み合わせることにより,乱流中の各種鈍頭物体周りの乱流場をシミュレートする手法を開発した.この方法では,大スケールと小スケールの渦運動の重ね合わせで乱流場を表現する.大スケールの渦の運動をスカラーポテンシャル乱流場によりモデル化し,小スケールの渦運動を物体周りの渦度の変化を表した理論式によりモデル化した.この方法により,対称翼周りの乱流場をシミュレートし,従来の結果と矛盾のない統計量の変化が計算された.今後は,分子混合モデルとの結合により,物体周りの拡散場および化学反応場の計算を行う予定である.さらに,ランダムフーリエモード法の応用として,一様等方性乱流中の物質線の特性も調べられた.
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