本年度は、模型の製作、圧力計測法、流れの可視化法の検討を主に行った。 まず、100Hz程度の高速で振動する声帯をもつ喉頭を模擬した模型を製作した。声帯模型を高速で振動させる機構としてモータ・偏心カム系および加振器を検討した。モータ・偏心カム系では、対象としている狭窄部の振動の振幅が小さいので、モータ、偏心カム、狭窄部の間のアソビやガタがほとんど出ないように製作する必要がある、加振器では、狭窄部の流路断面積により加振器に加わる負荷が大きく変化するので、一定振幅で振動させる場合は制御系が必要である、また、高振動数で振動するので、駆動部の振動が模型部に伝わらないようにそれぞれの基礎部分を独立にする必要がある、ことなどが分かった。本年度の予備計測では、駆動部はモータ・偏心カムとした。 圧力分布の計測では、振動数が高いため圧力孔の大きさ、配管の長さから生ずる、計測誤差の修正法を検討し、最終的に圧力計を模型に直に設置することとした。圧力計測の結果、振動数が50Hz以上になると、圧力分布の傾向が大きく変わることを確認した。また、模型内に煙を入れ、レーザライトシートで照明することにより流れの可視化を行った。レーザーライトシートを声帯模型の振動に同期させて照射し、得られる煙像をカメラで撮影し、流れのパターンを観測した。しかしながら、狭窄部では煙の量に対し、流速が非常に速く、明瞭な映像を得ることが出来なかった。来年度も引き続き検討する必要がある。 最後に、計測した圧力データと当該研究者らが提案している数学モデルの計算結果を比較し、流れの剥離パターン、境界条件などの仮定の問題点を抽出するとともに、実験で高振動数で圧力分布の傾向が大きく変化する原因などについて検討した。
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