超マイクロキャピラリー流路内気液混相流の流動機構に関する研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13650179
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 芹澤 昭示 京都大学, 工学研究科, 教授 (10027146)
• 研究分担者: 功刀 資彰 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40301832)
• キーワード: 超マイクロキャピラリー流路 / 気液混相流 / 流動様式 / 可視化観察 / ボイド率

研究概要

本年度は従来の経験を踏まえて、気液混合器及び試験部を含む実験装置の改良と精緻な観察を保証する測定系の改良を中心とした実験系の手直しと、圧力損失、ボイド率の測定と相関式の提案を目標にした。
1)実験装置の改良と試験部製作
超微細流路では圧損が大きく、流れも間欠的になり易いいため、安定した気液二相流動を可能とする気液混合器のデザインが重要となる。本年度は当初の予定を変更し、内径100ミクロン径の透明な石英管を試験部に用いて種々の気液混合部を製作し、気液二相流動の安定化を試行錯誤的に追求した。目下、極細のステンレス管に30ミクロン穴を4ヶレーザー加工した混合器を試作し、性能評価を行っている。
2)可視化観察系の充実と流動様式とその機構の観察
高精細マイクロスコープを購入し、内径100μmの透明石英管内空気-水二相流の流動様式を観察し、流動様式線図を求めた。特にマイクロスコープによる可視観察とともに、高精度レーザー変位計を用いた詳細観察から、スラグ流や環状流では通常口径管内二相流と全く異なり、壁面の乾き部分が存在することを始めて明らかにした。さらに、壁面の汚れが気液二相流流動様式に大きく存在することを明らかにした。超マイクロ流路では表面張力や粘性力及び慣性力が支配的であるため、重力場の影響しないマイクロ重力下での気液二相流挙動類似することを示した。
3)ボイド率の測定
気液二相流動の基本特性であるボイド率を気泡流及びスラグ流領域で求め、通常口径管に対する既存式と比較した。その結果、Liquid Ring Flow, Liquid Lump Flow, Rivulet FlowなどをAnnular Flowの範疇に含めると、一般的な傾向はArmand式に従うことが明らかとなった。今後は、Liquid Ring Flowも含めた広範な流動条件下でのボイド率相関式をまとめる予定である。

研究成果

• [文献書誌] Z.P.Feng, A.Serizawa: "A Review of Gas-Liquid Two-Phase Flow Hydrodynamics in Micro-Channels"日本機械学会研究分科会「マイクロチャンネル内の流動と熱伝達」成果報告書. P-SC295. 3-19 (2001)
• [文献書誌] A.Serizawa, Z.P.Feng: "Two-Phase Flow Patterns in Ultra-Small Channels"日本機械学会研究分科会「マイクロチャンネル内の流動と熱伝達」成果報告書. P-SC295. 102-106 (2001)
• [文献書誌] A.Serizawa, Z.P.Feng: "Two-Phase Flow in Micro-Channels"Proc. of the 4^<th> International Conference on Multiphase Flow, New Orleans, USA(招待講演). Paper No.606 (2001)
• [文献書誌] A.Serizawa, Z.Kawara: "TWO-PHASE FLOW IN MICRO-CHANNELS"Proc. of the 39^<th> European Two-Phase Flow Group Meeting, Aveilo, Portugal(招待講演). Session II (2001)
• [文献書誌] A.Serizawa, Z.P.Feng, Z.Kawara: "TWO-PHASE FLOW IN MICRO-CHANNELS"International Journal of Experimental Heat Transfer, Thermodynamics, and Fluid Mechanics. (受理). (2002)
• [文献書誌] 芹澤昭示: "マイクロチャンネル内の流動と熱伝達"日本機械学会. 204 (2001)