研究概要 |
自動車用トンネルの分野では、縦流換気と火災対策としてジェットファンの画期的な性能改善が要望されている。そのようなファンでは従来、空気力学的性能よりも非常時の信頼性から、動翼を通る流れの向きを回転方向によって正逆を切り替える方式が採用されてきた。本研究ではその方式を前提に、先ず双方向流に適した動翼を主として数値流体力学の立場から追究し,その成果を実機に応用して、厳密な性能試験から本研究の有用性を明らかにする。 初年度、環状流路に置かれた単独翼の空力性能を乱流解析した結果から、双方向流に対して同一形状をとる翼形としては、そりの分布よりも前縁・後縁部を極力薄くするとよいことが明らかにされた。低騒音化の技術開発の面から2段ジェットファンを前提として、得られた成果に基づく動翼(口径:630mm用)を製作した.2年目(最終年度)の本年度は、動翼の取付角と回転数をパラメータとして、送風量、軸方向推力、ファン効率、比騒音などのジェットファン性能を詳しく調べた。いずれも、従来の性能を超える結果が得られたとみている。例えば騒音は、ファンの出口側での測定にもかかわらず、90dB以下となった。その際、ファンケーシング長も10%以上短縮している。さらに、新たな知見として、動翼前後の流れを5孔ピトー管で調べて双方向流に対する2段動翼の設計渦形式として周方向速度一定が好適であるということを明らかにした。それらの成果をまとめて、本年3月開催された日本機械学会の講演会で公表した。
|