本研究では、知的可視化画像処理とウェーブレット技術を用いた複雑系の多重スケールの乱流構造を解析した。知的画像処理技術のキーアイデアは、離散の動画像(可視化された流れの映像情報)の時間パラメータに沿って動画像の情報を古典物理の集大成であるヘルムホルツ方程式で連続系へ変換することである。すなわち、各スケールにおいて動画像のフレーム間の変化量を司るパラメータをヘルムホルツ方程式から導かれる状態遷移行列の要素として抽出する。その結果、物理系の性質、例えば線形か非線形か等の規則性を見出し、究極は因果関係を解明し法則を生成することが目的である。本研究は知的可視化画像処理とウェーブレット技術を用いて時間-空間-周波数の3次元面における噴流乱流のPIVとLIF画像を解析した。定量的に各スケール渦の生成・成長・干渉過程、乱流の組織構造および異なったスケールの運動成分間のエネルギー伝達とエネルギー散逸の機構を解明した。時間-空間-スケールにおいてビジュアル的な乱流の渦構造の形成・成長・干渉過程などが可視化された。さらに、ロブジェット混合流のPIV画像に対して知的可視化画像処理技術を用いて低時間分解能の離散化の画像から高時間分解能の連続の画像へ変換した。得られた高時間分解能の連続なPIVロブジェット混合流画像に対して3次元ステレオPIV画像解析が行われた。ロブの先端の付近で3次元のマッシュルーム状の大渦構造が明瞭的に観察された。また、ロブの付近で中小渦が分布し、強い3次元混合流を形成していることがわかった。
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