はく離再付着流れの基本モデルである後方ステップ流れにおいて、後方ステップ上流のスパン全体にわたり直径dの渦発生ジェットを与え、再付着領域壁面近傍流れの静的な性質について調べ、以下の結果を得た。吹出し間隔10dから20dの範囲でジェットを吹出した場合、後方ステップ端で三次元擾乱を与えたにもかかわらず、はく離再付着領域壁面近傍の流れはスパン方向に一様であり、二次元的な性質を示し、再付着距離は減少した。吹出し間隔が10dより狭い場合は二次元的な再付着距離の減少は得られず、30dより広い場合、個々のジェットに対応した周期的な変化がスパン方向に現れた。ジェット吹出し間隔20dにおいて、ジェット速度比の変化にかかわらずはく離再付着領域壁面近傍の流れは二次元的な性質を示し、ジェット速度比がVR=1〜7において、再付着距離はジェット速度比の増加に対応して減少するので、ジェット速度比を用いて再付着距離の制御操作が可能である。次に、渦発生ジェットによる後方ステップ流れの再付着距離を閉ループ制御するシステムを検討し、以下の結果を得た。ジェット速度比に対する壁面静圧ゲインが最大となる流れ方向位置はX/H=7なので、ジェット速度比を制御操作変数、壁面静圧を制御変数として、再付着距離を制御する閉ループ制御システムを構築した。制御システムを壁面静圧ステップ応答試験に供試した結果、過渡制御、定常制御において良好な制御結果が得られ、制御システムの妥当性が確認された。 併せて、次年度に備え、ディフューザはく離流れに上記制御システムを適用するため、ディフューザ流れの予備実験を実施した。
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