後方ステップ流れに渦発生ジェットを適用して、吹出し速度比と吹出し孔の最適化を実施し、渦発生ジェットをスパン方向に離散的に吹出したにもかかわらず、再付着過程がスパン方向にほぼ一様な2次元構造を持つので、制御パラメータを再付着点近傍の壁面静圧に選ぶことにより、再付着距離の閉ループ制御システムを完成させ、再付着距離を16%短縮させることを実現した。次に、開発された制御システムをディフューザの剥離制御に適用した。まず、入口流路高さ80mm、入口流路幅と高さの比であるアスペクト比を9、開き角16度まで設定可能な片開きディフューザを設計・製作した。剥離点上流でスパン方向に1列に配置した吹出し孔からピッチ可変で渦発生ジェットを吹出す構造とし、渦発生ジェットの速度比ならびに吹出しピッチをパラメータとして、マイクロ壁面センサにより剥離点ならびに剥離泡内の順流率分布を計測した。その結果、デイフューザ流れの剥離抑制に効果的な渦発生ジェット吹出し配置が最適化された。併せて、開き角13度を境に、小規模な失速流れと大規模な再循環渦流れの2種類に分かれ、これらの流れに対する渦発生ジェットの最適値も判明した。しかしながら、後方ステップ再付着流れと異なり、剥離過程に関し、スパン方向の一様性を保つことが極めて困難であった。 以上の実験結果より、後方ステップ流れとディフューザ流れにおける制御特性を比較すると、剥離点が固定された後方ステップ流れの制御性が極めて良好であり、一方、剥離点が時間とともに移動するディフューザ流れの制御には困難さが伴うことが判明した。併せて、ディフューザ流れを含めた広範な流れに本制御システムを適用する際の技術的な課題や制約が明らかとなった。
|