研究概要 |
本研究は,強い衝撃波と渦輪を生成し,それらの干渉現象やそれらと物体との相互作用によって生じる流れ場を,光学的可視化により観測し,圧縮性乱流現象の基本的な性質を明らかにする目的で行っている. 本年度前半は衝撃波管を使用して生成した渦輪流れと3次元物体の相互作用現象を可視化観測し,後半は強い衝撃波,渦輪を作るための装置め製作を行った.以下に行った実験結果の概要を示す. 小立方体に渦輪流れが接近し衝突していく様子の2つの側面像を,通常のシャドウグラフ法で,また斜め方向からの観測像を,奥行きが認知できるステレオ・シヤドウグラフ法によって可視化し観測した.立方体上の境界層の生成と成長、剥離渦輪の生成,ショックレットの生成およぴ両渦輪の相互作用運動などが観測された.得られた新しい知見は以下である. (1)立方体上には強い渦が生じ,剥離した生成直後の剥離渦輪は正方形である. (2)正方形渦輪は,自己誘導速度によって曲率の大きな角の部分は,他の部分より下流かつ渦輪の中心軸方向に移動する.即ち非粘性の場合の正方形渦輪の変形と同様な変形をしていることが分かった. (3)進行して来た円形め渦輪と正方形の剥離渦輪は互いに接近し相互作用を行う.両渦輪は,時間経過とともに初期の正方形の軸から45度回転した形の軸を持つ1つの正方形渦輪へと変形していく. (4)剥離渦輪と進行渦輪が接近すると,それらの間に衝撃波が生成される.この生成原因は,両渦輪の間の流れが,ラバール管における衝撃波の生成時と同じ様な流れの状態になっていると考えられる. (5)剥離渦輪生成後には,正方形の辺から連続的に渦が生成される.これは渦輪後流の流れと境界層との境界面の不安定によって生じていると考えられる. 以上はマッハ1.35程度の流れの結果である.来年度は、開発中の方法で生成した強い渦輪による実験を行う.
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