研究概要 |
気泡微細化沸騰には、比較的低い伝熱面温度で核沸騰から連続するかのように発生し、極めて高い熱流束を実現するS-MEB Iと、CHFのあとやや大きな伝熱面温度のジャンプの後、大きな温度変動を伴いながら熱流束が立ち上がるS-MEB IIとがあることが確認されている。本年度は後者にも着目し、熱流束と伝熱面温度の大きな変動が生じる機構について、水平伝熱面に並行にサブクール水を供給する系で発生する気泡微細化沸騰を対象に、ボイド測定用の探針電極を用いて伝熱面近傍の気泡の動きを直接捉えることにより,S-MEBにおける伝熱面上での気液交換の周期的挙動を明らかにした。さらに,圧力変動や伝熱面直上の流体の温度変動との同期測定により,高圧発生と気泡挙動の相互関係を明らかにするとともに,S-MEB IとIIの伝熱機構の違いについて考察を試みた。 S-MEBでは探針電極が示す気泡の崩壊時に伝熱面直上の流体温度が低下することから,このとき伝熱面へのサブクール液体の流入と固液接触が確認された。ここでは熱流束の増加とともに気泡の生長・崩壊は周期性を強め,またその周期は短くなり、とくにS-MEB Iでは熱流束の増加に伴い伝熱面上で生長・崩壊する気泡の規模が大きくなり,高熱流束域では伝熱面上に気泡が一つになる時間が支配的になる。 S-MEB IIではある時間間隔で三つの状態が繰り返されることを明らかにした。すなわち,(i)不規則な気泡挙動を示す状態,(ii)周期的な気泡挙動を示す状態,(iii)蒸気膜に覆われた状態である.このうち,(ii)の状態はS-MEB Iとほぼ同一の現象であることが分かった。熱流束の増加は、(ii)の状態の割合いの増加によって支えられることを明らかにした。
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