オゾンなどを用いた水質浄化技術や気体のアルカリ溶液への吸収など液相化学反応は化学工学などの分野で重要となっている。液相反応においては反応ガスの溶解過程が反応律速となることが多く、その溶解促進のために微細気泡を用いることは、その体表面積が広いことや液体内での滞留時間の長いことから、気体の液体中への溶解促進の効率化に大きく寄与する。また、医療の分野においても肺や血液の造影剤として10μm程度の微細気泡を用いる例があることから、微細気泡の応用範囲は広い。したがって、10μm程度の超微細気泡を生成する技術の開発には大きな意義がある。我々は針先から放出される微量のガスに超音波を当てることで、効率よくかつ均一に10μm程度の超微細気泡を生成できることを見いだしており、本研究はその生成方法を応用し、より安定的にかつ大量に超微細気泡を生成するための技術を開発するものである。 超微細気泡生成メカニズムの解明においては、超音波照射によって気液界面に生じる表面張力波が分裂することにより超微細気泡が生成している可能性が高いことから、表面張力波の形状や波長について詳細に測定した。実験では、アクリル試験槽内に超音波振動子および針形状を持つマイクロシリンジを導入する。アクリル槽内に導入した試験液体中で超音波を発生させ、定在波を作る。マイクロシリンジからマイクロシリンジポンプを用いて液体に導入された微量ガスに超音波を付与し、超微細気泡を生成する。このとき、購入したカメラなどを用いて表面波の波長測定を行い、表面振動波の波長が周波数によって変化することが確認できた。また、気泡径分布の測定も行い、波長の影響などを調べた。
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