研究概要 |
冷媒HFC134aを用いた水平細管内沸騰熱伝達の実験を、蒸発管の内径3.1,1.12,0.51mm、質量流束150〜300kg/m^2s,熱流束14〜29kW/m^2の範囲で行った。熱伝達率の管径の影響について、3.1,1.12mm管ではこれまでの普通管(約6mm管)の熱伝達率変化の傾向と大差はないが、0.51mm管では高クオリティ域の熱伝達率低下が顕著であり、また、熱流束、質量流束の変化に対し、管径が小さくなると熱伝達に対する質量流束の影響がはっきりしなくなるが、熱流束の影響は顕著であることから、管径が小さくなると核沸騰の寄与が相対的に大きいことがわかった。また、この点については、Schrock-Grossmanによる相関式評価で、強制対流蒸発の寄与で(1/X_<tt>)^nの指数nは管径が小さくなると小さくなる傾向のあることなどからも検討を加えた。 熱伝達率の相関式整理では、データを見かけの液Re数を1000以上で乱流、それ以下で層流として整理することで、乱流域については管径によらずHFC134aの水平管内沸騰熱伝達データは一つの相関式で表せほぼ±30%以内になることを示した。 ドライアウト点における臨界液膜厚さを実験データから求めると、熱流束、管径によらずほぼ15μmであり、この臨界液膜厚さを用い環状流、平均液膜を仮定してドライアウトクオリティの予測を行った。予測は実験値の傾向をよく示した。ドライアウト後の熱伝達率予測に対し、乾き率を導入することにより熱伝達低下モデルを提案し、層流データの実験値と予測値はおおすじで±30%以内になることを示した。 圧力損失では、3.1mm管では二相増倍係数のはいったLockhart-Martinelli相関式が0.51mm管では単相流の均質流モデルがそれぞれ実験値とよく適合した。
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