研究概要 |
厚さ方向に連続的な色(波長)の分布を持つシート光を作成し,「トレーサ粒子が懸濁した流れ」に入射することを考える.トレーサ粒子の様子をシート光に直交する方向からカラービデオカメラ等を用いて観察した場合,その挙動の「シート光に平行な方向成分」は,ビデオ画像上の位置情報として,一方,「シート光に直交する方向(厚さ方向)成分」は,粒子の反射する色として得られることになる. 本研究は,上述の様な原理に基づく"流れ場の3次元計測法"の開発を目的としたものである.平成13年度は,「光学系の検討」,「較正方法の検討」および「自動計測のアルゴリズムの検討」等を目的として実験研究を行った. 光学系の検討に関しては,(1)回折格子により分光した光を自作の二次元凹面鏡を用いて疑似平行とすることにより,厚み方向に連続的な色の分布を持つシート光を作成する,(2)キセノン光源より射出される平行光(白色)をリニアバンドパスフィルターに入射させることにより,厚み方向に連続的な色の分布を持つシート光を作成する,の2者を試みた.この結果,いずれの場合も±0.15mm未満の精度で,公称直径0.1mmの粒子の位置を測定可能なことを明らかにしている. また,粒子の反射光に関して彩度による整理を行った結果,彩度が高い粒子のみを解析対象とすることにより,測定精度の向上が図れることも明らかにしている.このことより,自動計測に当たっては,予め,自動計測の対象となる粒子を彩度により選択しておくアルゴリズムが必要との結論に達した. なお,上述のリニアバンドパスフィルターを用いた場合は,該フィルターの特性から,"粒子位置"と"反射光の色相角"の関係が直線的となる.このため,該フィルターを用いた場合は,異なった二点に対してのみ"粒子位置-反射光の色相角"の関係を求めれば較正が可能となることを明らかにしている.
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