本研究は、燃焼熱を熱ふく射および光へ変換し、熱光起電力電池(Thermophoto Voltaic Cell ; TPV Cell)によって発電する新規なエネルギー変換システムを提案し、その熱効率や自立分散型発電システムとしての可能性について検討したものである。その構造は、断熱された30mm×30mmの流路内に厚さ10mmのセラミック多孔質体を流路中央に充填し、その両側に20mmの燃焼空間および石英多孔板(厚さ3mm、φ2.5mm×75孔、開口比35%)を1mm間隔で10枚づつ配置したものである。この流路へ周期的に流動方向を反転させながら空気を供給し、流動方向に合わせて燃焼空間に燃料を供給し中央のセラミック多孔質体を加熱する。この燃焼ガスは下流側の石英多孔質体を通過する際、顕熱が蓄熱されるので、温度低下を伴って排出される。流動方向が反転すると、この蓄熱された熱により空気が予熱された後、燃焼空間に流入する。この熱循環により、僅かな燃焼熱でセラミック多孔質体が1500K程度まで加熱される。数値計算によれば、燃焼熱の約70%がふく射エネルギーとして系外に取り出され、2.2ミクロンまで電力に変換できるTPV電池により熱効率15%が期待される。また、試作した実験装置を用いて発電したところ、1次元性が必ずしも確保されていないことや、形態係数が小さい(〜0.06)ことから熱効率は0.2%に留まっているが、システムの構成が可能であること、1500Kまで加熱できたことなど発展性が期待されることが明らかとなった。
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