本研究は、二酸化炭素(CO_2)を冷媒とする冷凍サイクルの絞り損失を回収するために、圧縮機と膨張機を一体としたベーン形の流体要素を考案し、その基本性能を解析すると共に、装置を試作して圧縮機、膨張記、およびサイクルの性能を検証するものである。 昨年度はベーン形の膨張機を試作してその運転に成功し、超臨界域から二相域への膨張過程について検討した。試作膨張機の効率は漏れ損失により非常に小さかったため、今年度は内部漏れの低減を狙いとした設計変更および圧縮/膨張一体形機械の設計・試作を行った。まず、内部漏れに関してモデル実験を行ったところ、ロータ端面の漏れ止め装置(シールリング)は有効に作用していたが、ベーン背部空間に供給している超臨界流体がベーン側面を通って漏れる流量が大きいことが分かり、ベーン背部圧力の供給方法を変えることによってロータ端面を通る漏れを40%低減させることができた。膨張機の性能としては低速回転域(1000rpm)において約10%の効率向上が得られた。 一方、圧縮/膨張一体形機械に関しては、機械をサイクルに組み込む構成について検討した後、2種類の機械を設計して、その1つについて試作・性能試験を行った。性能試験を行ったものは、ロータと楕円ステータで形成される2つの流路をそれぞれ圧縮機と膨張機で使用するものである。 以上、ベーン形CO_2圧縮/膨張機の開発に関する新しい知見を得ることができた。
|