研究概要 |
A.超臨界圧力下でのCO2の管内層流強制対流冷却過程の数値解析 内径0.6mmの平滑円管内での超臨界圧力下でのCO2の管内層流強制対流冷却過程の数値解析を行い,以下の結論を得た. (1)軸方向速度と軸方向温度の半径方向分布は,物性値の変化のために軸方向に連続的に変化することを示した. (2)局所熱伝達係数及び平均熱伝達係数はバルク温度が擬臨界温度近傍で極大値をとり,その値は系の圧力が臨界圧力に近づくほど大きくなることを見出した. (3)冷却壁面温度が擬臨界温度に一致するときに局所熱伝達係数が若干減少することを明らかにした. (4)熱流束の増加とともに,平均熱伝達係数の極大値は増加し,極大値での平均バルク温度は上昇することを示した. (5)平均バルク温度が擬臨界温度に近づくとともに,全圧力損失は増加すること及び熱流束が増加するに従い,全圧力損失に対する運動量変化の割合は増加することを見出した. B.超臨界圧力下での扁平多孔管内のCO2の冷却伝熱実験 超臨界圧力下でのC02の内径1.2mmの10穴アルミニウム製扁平多孔管内での強制対流冷却田園津実験を行い,以下の結論を得た. (1)局所熱伝達係数及び平均熱伝達係数は擬臨界点近傍で最大値をとり,その値は質量速度が増加するほど,また圧力が臨界圧力に近づくほど大きくなることを実験的に検証した. (2)擬臨界点の極近傍以外の平均熱伝達係数の実験値は通常の乱流単相熱伝達の予測式として提案されているGnielinskiの式による予測値とよく一致した. (3)本実験では接触熱抵抗の問題が生じ,局所の熱流束や管外壁面温度が正確に測定できないところがあった.擬臨界点の極近傍における局所熱伝達特性を明らかにするためには,局所の熱流束や管外壁面温度の測定において,より高い精度が要求されることが明らかとなった.
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