本研究課題の最終年度にあたる本年度は、昨年度の研究成果をもとに、実験、理論解析、まとめの3項目に関し以下の研究を実施した。 実験に関しては、定常状態における実測値の蓄積と整理、一連の実測値に基づく熱交換性能と断熱性能の評価、非定常状態に関する実験と実測結果に基づく非定常特性の評価を行った。2層〜5層の熱交換器構成に対し、高温部の作動ガス入口温度が300〜700oC(573〜973K)、多孔性媒体の光学的厚さが0〜15.4、デミスターの有無および設置位置、隔壁フィンの有無およびフィン形状、低温部、高温部および排熱回収部の作動ガス平均流速が0.15、0.23m/sの条件下で実験を行った。理論解析に関しては、本実験装置に対応する物理モデルと実験条件に基づく非定常解析ならびに熱交換器設計のための簡易整理式について検討した。以上の結果、「1.排熱回収部を設置することにより系の自己断熱が良好に行われ、外壁温度を20〜30℃程度に抑えることが可能、2.全熱回収率は熱交換器の層数の関数であり、層数に比例して増大、3.媒体の光学的厚さを厚くすることにより全熱回収率の向上をはかる場合、その厚さは8程度で十分、4.隔壁にストレートフィンを設置することにより全熱回収率を改善する場合、隔壁の見掛けのふく射率が低下しない構造設計が必要、5.隔壁へのジグザグフィンの設置は全熱回収率の向上に非常に効果的であり、設置しないベア隔壁の場合と比較し2倍程度の高い増加率を得ることが可能、6.デミスターを熱交換器内に設置する場合、作動ガスの流動状態とデミスターによるふく射エネルギーの射出、吸収効果を考慮し適切な位置に設置することが必要、7.多孔性媒体は良好な非定常特性を有し系全体の変化特性は熱交換器ユニットおよび隔壁が支配的」であることなどの多くの知見が得られ、総合的な取り纏めを行った。
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