研究概要 |
平成13年度は、補助水素噴射を実現するためのハードウェア構築を主たる目標として研究を進めてきた.その構築に不可欠な設備備品として噴射圧計測システム(キスラー社製,型式6229A)とメモリハイコーダ(日置電機(株)製,型式8835)を購入することにより,噴射事象と燃焼状況の同期モニタリングが実現できた. 高圧水素噴射システムについては,既に噴射装置と電子制御回路を含めた設計および製作が終了しており,現在のところ予備的な噴射試験を実施している状況にある. システムの安定動作とガス漏洩に対する安全性が確認でき次第,既設の高温・高圧定容燃焼容器を用いた燃焼実験を開始する予定であるが,着火不良時の対策を見越して補助点火装置の設計・製作を進めている. シミュレーションコードの開発については,既存のコードを部変更し,多点でかつ異種燃料の噴射を模擬できるように改良を行った.噴霧の到達距離や噴霧内の蒸発や混合に関する支配因子については,燃焼実験に先立ってシヤドウグラフによる可視化撮影を行うことで,妥当性のあるマッチングを図る計画である. また,本研究の前駆となる成果を3編の論文にまとめ,2編を昨年7月に名古屋において開催された国際学会(COMODIA2001)において発表した.1編は本研究の基礎となった異種燃料の層状噴射による燃焼改善に関するもの,他1編は本研究の動機となった近年の舶用燃料の低質化による障害に関するものである. このように本研究の遂行によって,国際学会を含む多くの講演会や研究会議に出席することが可能となり,噴射系に関する貴重な情報を得,水素燃焼についての知見を深めることができた.さらに,本年3月にはドイツのハノーバー大学およびBMW社で水素利用技術に関する研究討議を予定している.
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