ライデンフロスト温度以上の高温面を噴流で急冷する場合、衝突後濡れ面が高温面上を周囲に向かって拡がりながら冷却仮定が進行していく。冷却中の高温面の温度変化や熱流束変化を求めるためには、固体内の温度変化から表面状態を推定する方法すなわち逆問題解を求め、その推定精度をまず確立する必要がある。 そこで、今年度は下記に2点について検討した。 1.2次元非定常熱伝導逆問題解の予測精度の確定については、逆問題解を導出し、順問題解を用いて、その推定精度について検討した。温度変化が緩やかな場合については、測定精度と同程度の精度で、表面温度と熱流束が推定できることを明らかにした。一方、本実験の冷却のように温度変化が急激でかつ冷却位置が移動する場合には、測定温度変化をいくつかに分割することによって精度の高い推定が可能となることが分かった。 2.実験では、測定点数に制限があるので、提案された逆問題解の推定精度に測定点数が及ぼす精度について検討した結果、測定点数は、8点程度で十分であることが分かった。 3.濡れ面の移動速度については、ビデオ撮影から測定し、噴流速度、サブクール度の影響について検討した。 4.測定された温度変化から推定された表面温度と熱流束は、設定された熱電対位置の誤差のために十分な精度で求められなかった。平成14年度では、熱電対の設定位置を正確にし、濡れ面の移動位置と表面温度と熱流束の関係について検討する。
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