研究概要 |
駆動式の冷凍・空調機である吸収式システムは,水/臭化リチウム水溶液やアンモニア/水などのオゾン層破壊や地球温暖化に影響しない冷媒と吸収剤を使用することや,排熱の有効利用,電力消費の削減への貢献などの埋由から注目されている.しかし,吸収式システムは,成績係数が小さいこと,システムが大型になることなどの理由から,その普及が進んでいない.それらの問題を解決するために高効率・高性能な新しいシステムの開発が進められており,その要素機器の開発が必要不可欠である.特に吸収器は本質的に他の機器に比べて性能が悪いため,吸収性能を高め装置を小型化することが重要な課題である. 本年度は,開発したシミュレーションプログラムを用いて,LiBr水溶液の波状流下液膜による水蒸気吸収に関して,表面波の運動と液膜内部の流動,気液界面での水蒸気吸収,液膜内部の熱および物質輸送を同時に解き,計算結果の解析を行った.その結果,表面波の運動特性,表面波による液膜内部の流れ場,濃度場および温度場の変化の特性を示した.また,表面波を発生させるためのじょう乱周波数を変化させると,低周波の場合は孤立波の中に発生した循環流によって高濃度のLiBr水溶液が保持されて流下すること,高周波の場合は波の相互作用でそれが変形しながら流下することを明らかにした.定性的にはこれらの重要な結果が得られたが,計算プログラムには計算スキームと計算機能力の限界から信頓できるまでの定量的な結果が得られていない,今後計算方法の改善を図り,.数値拡散などの問題を解決する必要がある. 実験では実機に使用される銅製の平滑管,らせんフィン付管,クロス溝付管を用いて水に酸素を吸収させる実験を行い,低流量ではクロス溝付管が,高流量ではらせん溝付管が,吸収の促進、に対して有効であるという結果を得た.
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