本研究では、無制御で安定に浮上する高温超電導浮上軸を試作した。すなわち、高温超電導円板1個を底部のクライオスタット内に置き、軸の下端を永久磁石円板で支持し、上端に環状永久磁石2個をN-S交互取り付ける。2個の環状永久磁石円板対として、2組の磁石対を外部壁に取り付け、2対の磁石対の間に軸上端の磁石を非接触で挟む。これにより軸の下端には、ピン止め力が、上端には軸中心に向かう強力な吸引力が働き、軸を安定に浮上できる。軸方向剛性、軸直角剛性はともに従来の浮上系の2倍以上となった。また、軸回転が上昇する過程で起こる共振を抑制するため、ダンパを試作した。ダンパは4つのコイルよりなり、このコイルを軸の磁石と外部固定の磁石の間に置く。軸が回転し、振動すると、コイルに電流が発生し、この電流と磁石の磁束密度により、ローレンツ力が軸直角方向に働き、振動を抑制する。本装置を試作し、実験を行ったところ、共振振幅は従来型の1/3以下に抑制できることが確認された。
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