研究概要 |
前年度に開発した曲率制御を指標とする操舵制御系を基本として,引き続き,ドライバによる操舵を表現する数学モデル(ドライバモデル)について調べた.形式的には,従来の前方注視点モデルと共通した枠組みであり,注視点誤差に応じた操舵により,注視点距離の走行で目標軌道上に到達することを条件として操舵量を決定する予見・予測制御となっている.車両のダイナミクスを明示的に扱う代わり,車両のノミナルモデルについては,車両制御器の機能により指定された曲率,あるいはその変化率が実現されるとして挙動予測を行うことで明快な取り扱いを実現した.これにより,ドライバモデルも簡単化され,応答が走行条件に影響されにくいことから,走行軌跡曲率を指標とする操舵制御系は,ドライバにとって車両の応答が変動し難いという意味での操縦しやすさを実現することが示唆された.シミュレーションにおいては,刺激応答時間,車両,操舵系の遅れ,位相進み補償による影響などについて検討した.人工現実感技術を応用したリアルタイムシミュレータの使用により,被験者実験による検証を行った. 前年度は,前輪アクティブ操舵に限定してきたところを,本年度は制動・駆動力配分を包含する統合化についても検討した.車両の横滑り角が過大となるような危険な状態を回避する事故回避性(アクティブ・セーフティ)の観点ではこのような方式が有効である.モデル追従制御の評価関数においては,横滑り角の時間微分を追加することで所定の結果を得た.
|