研究概要 |
(1)振子長の振幅制限を考慮した可変長振子系の振動制御則 エネルギー法によって振子の振動を制振するための重りの速度に関する条件を求めた.すなわち,振子系の力学エネルギーに類似したエネルギー関数を導入し,この時間微分が非正となる厳密な条件(制振条件)を求めた.重り位置に対するサーボ系は振子の位相面軌道から生成されるバンバン状の目標入力と2次遅れ系から構成される.本制御則は,サーボ系の時定数を0に近づけると制御則が最適制御則に収束するという性質を持つ.サーボ系の時定数は重りの駆動力と制御性能とのトレードオフに利用される.本制御則の有効性はシミュレーションおよび実験によって検証された. (2)支点移動幅の制限を考慮した倒立振子の振り上げ安定化制御則 並進型倒立振子系に対して,支点の移動幅を考慮できる振り上げ制御則と安定化制御則を提案した.振り上げ制御則はエネルギー法に基づいて設計される.すなわち,振子の力学エネルギーの増減が支点加速度の符号条件に依存することを考慮し,支点移動幅の制限下で支点加速度の制御を行う.制御器は,ローパスフィルタ特性を持つ台車のサーボ系と振子の位相面軌道から生成される正弦波状の目標入力により構成される.振子が倒立点に近づくと振り上げ制御から安定化制御に切り換え,系全体の安定化を行う.安定化制御則は,平衡点近傍で線形近似した系にブロック制御法を応用して設計される線形制御則で,支点移動幅を小さく抑えながら系全体を安定化できる.提案する制御則の有効性はシミュレーションおよび実験により検証された. (3)支点および振子長の振幅制限を考慮した振子系の振動制御則 エネルギ法で得られた制振条件に基づいて,台車の位置および重りの位置に対するサーボ系設計法を提案した.これらのサーボ系は,それぞれの振幅制限および制振条件を満足すると同時に制御終了直前まで最大振幅を維持できるように工夫されており,高い制振効果を発揮する.また,シミュレーションおよび実験によって本制御則の有効性を確認した.
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