研究概要 |
高度道路交通システム(ITS)の制御技術は,ドライバーの運転機能を完全に自律化することであるが,現時点では自動操作する制御を部分的にドライバーの操作が関与すると考えるのが妥当である。ここでは,乗用車が外乱の影響を受けて目標車線からの逸脱をすみやかに修正するための操舵制御を開発する。しかし,その逸脱量が過大となったとき,車両位置を目標車線に速やかに復帰させるために多大な制御力を加えると,車両運動が激しくなり安全性や乗り心地を阻害することになる。そのため,操舵制御の設計には車両のサスペンション制御の設計と統合して行わなければならない。平成13年度に対象とした乗用車モデルは2車輪であったが,平成14年度はこれを4車輪に拡張し,前・後輪舵角を乗用車モデルの状態変数からなるフィードバック制御として決定した。この前・後輪舵角によって乗用車を自動操舵させるが,さらに前輪舵角にドライバーの手動操作による修正舵角を加えた。しかしながら,乗用車は非線形性や不確定性などを含む複雑なモデルと考えられるから,どのような状態変数を制御変数に選択し,かつその重みをどのように決定するかは非常に困難となる。そのため,このような複雑なモデルの制御に対して優れた性能を示し,かつ人間の動作感覚などを制御アルゴリズムに記述できるファジィ推論を用い,かつ入力変数(状態変数)数の増大による制御ルールの数の増大を防ぐために,1入力-1出力型の制御ルールを用いて制御の簡単化をはかった。操舵制御に用いられる状態変数は,ヨーレート,横すべり角,車両位置と目標車線との偏差の3種類とし,サスペンション制御に用いられる状態変数は,車体の前・後輪部位置で加速度,速度,変位とし,1入力-1出力型のファジィ制御ルールを用いて制御を設計した。シミュレーションの結果,本手法の妥当性が立証された。
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