研究概要 |
電動式射出成形機の大型化に対応して導入されたACサーボの多軸駆動法では,機械本体に過度の応力を与えないためには多軸サーボモータの位置同期制御技術が不可欠で,この技術課題の解決には負荷シミュレータ装置が不可欠となる.このような背景の下で実施したH13年度の実施内容を以下に記す. (1)小型シミュレータ装置の構想検討 電動式射出成形機の射出・保圧機構を模擬する小型シミュレータ装置は,小容量サーボモータ,動力伝達系と油圧シリンダによる模擬負荷からなる2軸構成とした.模擬負荷は油圧シリンダの高圧側を利用し,比例電磁圧力調整弁で可変負荷とする.実機では連結体を介した2軸駆動であるが,シミュレータ装置では2軸位置同期ずれによる装置破損防止のため独立駆動軸とし,同期制御性能は2軸の同期ずれ量で評価する. (2)実機射出・保圧機構と小型シミュレータ装置の相似則研究 小型シミュレータ装置と実機仕様の制御装置を使って,シミュレータでの制御ゲインと制御性能から実機でのそれらを事前予測できる相似則を明らかにした. (3)小型シミュレータ装置の設計・製作 上記相似則に基づいて,実機の形状寸法と運転条件からシミュレータ装置の形状寸法を設計し,製作した. (4)制御装置の設計・製作 電動式射出成形機は,成形性能,運転経費の点で油圧式より優れている代わりに,設備費が高くなる欠点があり,特にゴム射出成形での設備費抑制は重要課題である.したがって,制御装置もコスト重視の設計が不可欠で,実機仕様の制御装置と同じモーションコントローラを採用した.
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