研究概要 |
[13年度研究実績] 電動式射出成形機の大型化に対して導入されたACサーボの多軸駆動法に必要となる位置同期制御技術の開発には,次の理由でシミュレータ装置が不可欠となる. 実機を使用した多軸ACサーボの位置同期制御技術の開発では,同期制御が不良のときは機械本体に過度の応力を与えて実機を破損する危険がある. そのため,実機の機械要素と同じ小容量サーボモータ,減速機,ボールねじ,油圧シリンダによる模擬負荷および実機仕様と同じ制御装置からなるシミュレータ装置を計画・製作した. 本研究では,シミュレータ装置での速度・圧力制御性能より実機での速度・圧力制御性能を予測できる実機とシミュレータ装置の相似則を理論的に明らかにし,この相似則に基づいて明らかにしたシミュレータ装置の設計法を用いて設計・製作した.シミュレータ装置の破損防止のため,当初計画を変更し,2軸独立の構成とした. [14年度研究実績] 射出圧力工程でのモータトルク制限モード、保持圧検出信号を用いたフィードバック制御による保持圧工程でのトルク制御モードでは,多軸モータの位置制御ループが切れた形となり多軸モータの位置同期制御は保証されなくなる. 本研究では,射出圧力指令,保持圧指令に対応した要求トルク(モータ電流)が実現される一方で,多軸サーボモータの位置同期制御も同時に満たす制御方式を考案し,上記シミュレータ装置を使用して技術検証した.射出速度・圧力工程から保持圧工程への移行は,射出ストローク途中の位置で行われるが,この移行時に大きな圧力変動が発生しないようにするトランスファ機能も検証した.考案した制御方式は特許出願した.
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