高速ハンドリングのためには把持装置の軽量化を計るため、ワークの慣性力を利用してハンドリングする方式について検討を行った。そのため、搬送時にワークに姿勢格変化を与えたときの、高加速度運動時の力とモーメントの解析を行い、安定把持を行える条件についての考察を行った。さらに算出された条件に基づいた搬送実験およびその評価を行った。とくに、高加速度時には、アームやモータの慣性力を考慮する必要が生じる。そのため、ロボットの動力学を見直して、各部材の慣性力を考慮した制御法を検討し、プログラミングに組み込むことが出来た。 実験としては、慣性力の効果を見るために、ワーク搬送中に姿勢変化を与えて、そのときのワークの接触力を面圧計を組み込み、計測を行った。その結果、姿勢角が変化しない場合は、約10Hzで面圧が振動して把持が不安定であるのに対して、姿勢格変化を与えた場合は、面圧の変化が少なく、安定して保持していることを確認した。このように、姿勢角変化によりワークの慣性力を把持力として用いることに成功した。 ハード面では、本年度は、まずマニピュレータのアーム部の仕様を見直した。その結果、ボールジョイントの加工を見直して、全面的に作り直した。また、バキュームグリースを塗布して、バックラッシュ低減をはかったところ、バックラッシュは著しく減少した。また、アーム部同士を固定してある、スプリングの強度も見直し、無理なく移動できる範囲で最も強固なバネに変更した。これらの改修により、当初に比べて大幅に改善が見られた。
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