研究概要 |
プロセス計測・制御の分野においては,自動監視や遠隔操作などIT化が先陣を切って進められている.しかしながら,その環境は防爆領域であることが多く,プロセス機器の駆動源としては空気圧が使用されており,IT化に必要な電気的なインフラ整備が遅れているのが現状である.そこで本研究では,空気圧を電気エネルギーに変換する機構について提案し,これを実現することを目的としている.提案する発電機構はピストンとシリンダのみで自励振動を発生する空気圧バイブレータの先に,磁石とコイルを取付けることによって発電するシンプルな機構であり,プロセス機器に組み込みが可能であることを目標とする.今年度は,この発電機構を試作して,下記の研究を実施した. 1.発電効率の分析と高効率化 無論,発電器には,高効率であることが望まれるが,シリンダ寸法,コイル素線径など,効率を支配するパラメータは数項目にも及ぶ.したがって,システムとして効率を総合的に解析する必要がある.シミュレーションによりパラメータと効率変化との関係を調べ,最高効率点があることがわかった.現在,シミュレーションにより高効率化のおおよその方向性がえられているが,理論的な裏付けを得るために解析を引き続き行っている. 2.静圧軸受機構の検討 本発電機構の寿命は,ピストンの軸受部で決まると予想される.これを回避するために静圧軸受機構による非接触化について検討した.発電器の軸受として必要な性能,製作の容易さを考慮して,テーパ形状と,ステップ形状の静圧軸受について解析を行った.高剛性が得られる最適な形状が存在することが明らかになり,これを実験により確認した.これらを通して,非接触化が可能であるとの結論に達し,長寿命化の見通しが得られた.
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