研究概要 |
プロセス分野においてはIT化が他に先駆けて進められている.しかしながら,その使用環境は防爆領域であり,IT化に必要な電気的なインフラがないに等しい.そこで本研究では,プロセス機器の駆動源として用いられている空気圧を電気エネルギーに変換する機構について提案し,これを実現することを目的としている.提案する発電機構はピストンとシリンダのみで自励振動を発生する空気圧バイブレータの先に,磁石とコイルを取付け発電するシンプルな機構である。13年度は,この発電機構を試作して特性解析を行い,パラメータと効率の関係を明らかにした.同時に,長寿命化のために加工が容易な静圧軸受を提案し,静的な性能評価を行った.これを受けて14年度は,下記のような研究を実施した. 1.整流および昇圧回路の設計・製作 電源としては12V以上の直流電圧が要求され、発電機構から取り出せる電源を整流、昇圧することが必要である.そこで、そのための回路を設計製作して実際にプロセス機器に接続した.機器を安定に動作させることができたが、機器の出力が変動すると供給圧力を調整する必要あり、負荷変動時の対応策について検討する必要があることがわかった. 2.軸受機構の性能評価 提案した静圧軸受を、発電機構に組込んで軸受の性能評価を行った.発電を行っている振動状態にあっても、軸受が動的にも十分な剛性が得られることがわかった。また延べ100時間程度の実験を行ったが、焼き付きや、コンタミネーションロックなどもなく実用的にも問題ないことを確認した. 3.発電機構の高効率化 13年度では発電効率に最高点が存在することが確認されたが理論的には未解決であった.今年度は、この理論的な解明を試みたが解明にいたらなかった.しかしながら,バイブレータをサーボ弁で駆動し,空気圧系の共振点で動作させると著しい高効率化が可能であることが明らかになった。
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