研究概要 |
本研究の目的は,人間と同様な関節機構と動作特性を持つロボットを用いて,人間のスキー運動のモデル実験を行うシステムを構築することである.人間の動作機構と同じ動作機構を両脚に有するロボットを製作し,各関節動作の組合わせと動作波形を変化させて,それぞれの動作パターンとターン運動との関係について明らかにする. 1.股関節の内転外転動作,回旋動作と屈曲動作(股関節と膝関節の屈曲・伸展)の三つの動作,さらに上体のひねりと横への傾斜を行えるスキーロボットを用いて,室内で滑走実験を行った.股関節の内外転運動を基礎にして,回旋動作および屈曲動作を加えた滑走実験を行った.股関節の内外転運動によるターンは速度のロスが少ないが,回旋動作を加えると滑走速度が減少し,ターン半径が小さくなった.関節動作とターン軌跡との対応関係については,エッジの反転する時点とターンの方向反転の時点とが一致した.一方内足と外足にかかる荷重については,ターンの後半で外足側により大きな荷重がかかるが、ターンが反転してもしばらくは谷側の足に荷重がかかり続け,その後反転する傾向が見られた. 2.元オリンピックスキーヤーの関節動作を計測し,得られた動作の特徴をロボットのプログラムに組み込んで滑走させたところ,安定した滑走をさせることができた.トップスキーヤーの動作には,屈曲・伸展動作と回旋動作の組み合わせに特徴があった。 3.股関節の内外転、屈曲・伸展,大腿の回旋,膝の屈曲,下肢の回旋,足首の屈曲が可能なロボットを新たに製作した.このロボットにより,人間の関節動作と直接対応する動作を行わせることが可能となった. 4.自律滑走システムを支えるセンサとして,速度センサ,荷重センサそして方位センサを開発した。方位センサは地磁気の方向を検出して,ロボットの滑走方向を算出するものである.これらのシステムによって,荷重制御,方向制御を試みた。
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