研究概要 |
本研究担当者らは、これまでレーザ光と超音波の放射力を同時に相補的に用いたレーザ超音波マイクロマニピュレーション(Laser-Ultrasonic Micromanipulation : LUMM)を提案し,試作マニピュレータによって不要粒子の中から特定の粒子を迅速に選別するリムーバルの実験に成功した。本研究の目的は,1)我々が提案したLUMMの高機能化と,2)これまで測定の困難な微小放射力や赤血球のような微小粒子の粒径などのミクロ量をLUMMにより推定するミクロ計測の実現の可能性を追究することである。 本年度は以下のような成果が得られた。 1.試作LUMM装置の高性能化を目的として、Windows98上のGUIを用いて1台のPCで顕微鏡画像の取り込み・保存と、メカニカルステージのGPIB制御を可能とするシステムを構築した。しかし、超音波パワーとレーザーパワーのGPIB制御までには至っておらず、今後の課題となった。 2.最近エレクトロニクスの分野において注目されているUV硬化接着技術を用いて、超音波マニピュレーションの音源となる小型形状のウエッジトランスジューサを試作した。動作周波数5.48MHzで、最小挿入損失25.3dB、3dB帯域幅9%の良好な特性が得られた。 3.ウエッジトランスジューサを用いて、多数の微粒子の中から不要な微粒子を迅速に除去して特定の微粒子のみを捕捉する実験を行った。トランスジューサへの電気的入力パワーを低減するために、ウエッジトランスジューサの動作周波数を挙げることが今後の課題である。 次年度は問題点を整理し、赤血球などの微小物体のミクロ計測を行う予定である。
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