研究概要 |
本研究は、レーザ光と超音波の放射力を相補的に用いることによって、ミクロンサイズの微小粒子に対する高度なマニピュレーションが可能な全く新しいマニピュレータ(LUMM : Laser Ultrasonic Micromanipulator)の高機能化と、液滴のマニピュレーションやミクロ計測への可能性を追求することを目的として,平成13年4月より平成14年3月までの2年間行ったもので,以下のような成果と見通しが得られた。 1.試作LUMM装置の高性能化を目的として、Windows98上のGUIを用いて1台のPCで顕微鏡画像の取り込み・保存と、メカニカルステージのGPIB制御を可能とするシステムを構築した。 2.最近エレクトロニクスの分野において注目されているUV硬化接着技術を用いて、超音波マニピュレーションの音源となる小型形状のウエッジトランスジューサを試作した。 3.ウエッジトランスジューサを用いて、多数の微粒子の中から不要な微粒子を迅速に除去して特定の微粒子のみを捕捉する実験を行った。 4.近年、化学プロセスの要素である分子輸送、反応、分離、精製、検出などの様々なプロセスを、数センチ四方のガラスやプラスチック基板上に集積化・チップ化するいわゆる"Lab-on-a-Chip(LOC)"の研究が注目されている。LOCを実現するには、複雑なポンプやチューブを必要とせずに極微量液滴(0.5μl〜60μl)を操作する技術(Microfluidic technology)の開発が不可欠である。そこで、レーザ超音波マイクロマニピュレータ(LUMM)への組み込みを前提として、6MHz帯の板波(Lamb波)を用いた液滴のマニピュレーションの実験を行い、マニピュレーションが可能なことが分かった。 これらの成果の一部は、電気学会第32回EMシンポジウムにおいて発表した。また、精密学会誌の微小物体のマニピュレーション技術特集号に解説論文を発表した。今後は問題点を整理し,IEEE英文誌等に発表していく予定である。また、本研究で得られた成果を基に、生体粒子のミクロ計測の研究を引き続き継続していくと共に、Lab-on-a-Chipへの応用研究を推進していく所存である。
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