本研究では、光ファイバを念頭に置き、直径500μm以下のガラス棒に対して、金属材料用の旋盤に類似したマイクロ旋盤加工法を確立する。これまで特殊な目的のために蓄積された個々の技術を統合し、各種の加工法に簡便に対応できるような汎用性のあるシステムを構築することが本研究の最終的な目的である。初年度の実験により、突ききり加工およびテーパー加工を実現し、さらに電極回転による加工装置の設計を行った。また、次年度においてはウェットエッチングを用いた簡便な加工装置を作成し旋盤加工を実施した。ファイバコア部の芯だし加工が実現できている。また、コア部への微小球の接合にも成功している。本年度は以下のように研究を実施した。 1.ドライエッチングを用いた基礎的なデータを測定した。また、長周期ファイバーグレイティングのための突き切り加工を継続して実施しており、フィルターとしての特性などを測定している。ドライエッチングを利用した旋盤加工は成熟した技術になったと考えている。 2.コンピュータ制御に関しても継続して開発を進めた。 3.ウェットエッチングを用いた簡便な加工法に関する基礎的な実験を継続して行い、コア部のドリル加工が成熟して行えるようになっている。また、微小球の3次元光トラップに成功し、光ファイバ先端のコア部に紫外線硬化樹脂を昨年度よりもはるかに容易に接着できるようになった。 4.ウェットエッチングとレーザアシストを組み合わせ、He-Cdレーザの照射スポットが選択的にエッチングされていることを確認したが、マスキングされていない場所も速度は遅いがエッチングされ、旋盤加工に取り入れるためには、いくつかの解決しなくてはならない問題があることが明らかになった。
|