近年、燃料電池や太陽光発電が実用の段階に入りつつあり、近い将来、これらの分散型電源が配電系統に多数設備されることが予想される。また、マイクロガスタービンや風力発電あるいは独立系発電事業者(IPP)の電源が、事業規模の分散型電源として、多数、電力系統や配電系統に接続されつつある。これらの電源は、供給力増強、設備増設繰り延べ、供給信頼性向上、配電損失軽減、環境負荷軽減など良い効果が期待できる反面、不用意に運用すれば発電電力の不確定性からくる電力品質の低下や需要端での深刻な電圧上昇など思わぬ欠点を露呈する不安がある。 以上のような背景から、本研究では、多数の分散型電源が接続された電力系統の最適な運用方式と分散型電源が接続されても安定して良質の電力を供給可能な電力系統構成計画手法に関する研究を行う。 本年度は、多数の分散型電源を有する電力系統の運用に関して、 1.多数の分散型電源が接続された系統の、線路損失の観点からみた、最適な運用手法、 2.電圧や潮流分布の観点からみた供給信頼性の評価を取り入れた最適運用手法(信頼性の評価は制約違反量または制約余裕量からなる評価関数で判断し、制約違反量または余裕量は、離散変数を「タブー探索」により取り扱う離散的最適潮流計算によって求める)、 3.電圧安定性の観点からみた最適運用形態を「総需要電圧感度」を評価関数として「タブー探索」を用いて求める手法、 4.事故時に分散型電源を最適に利用するために、「パーティクルスワーム最適化法」を用いて、事故時の分散型電力貯蔵装置の最適な運用方法見出す手法 について研究を行い、11.研究発表に示すような研究成果を得た。
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