1.高周波誘導加熱によるディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)の開発 本研究では、舶用のDPFとして、船舶のディーゼル機関で使用される重油の燃焼に対応できる高周波誘導加熱によるDPFの開発を目指した。その構造、材料等に関して、円筒型の誘導加熱ユニットを基本に、まず、繊維状のセラミックをステンレスで挟み込んだDPFユニットを開発し粒子状物質(PM)の捕捉と誘導加熱による再生を確認した。しかし、所要電力量と処理時間がかかりすぎる問題が残され、それに対処するために1000℃までの加熱に耐えられる特殊金属繊維を用い、さらに、高周波特有の表皮効果をうまく利用することにより、短時間で再生処理が可能なDPFを開発した。 2.誘導加熱用高周波電源としての新しい高周波インバータの開発 高周波誘導加熱では、誘導加熱負荷の特性を考慮した負荷等価回路定数による高周波インバータの設計・開発が必要となる。本研究では、高周波駆動における問題点を解決するソフトスイッチングとしての複合共振を利用した新しい零電流スイッチング(ZCS)高周波インバータを開発した。その結果、スイッチ電流を抑制しながら負荷電流の大振幅動作を可能とすることにより、高効率安定動作を実現した。 3.ディーゼル機関からのPM低減とDPFの再生 1.で開発したDPFにより、A重油燃焼ディーゼル機関からのPMを捕集し、2.で開発した高周波インバータによりDPFを再生し、繰り返し実験を行った。その結果、DPFの高周波誘導加熱による再生において、最適な加熱温度を所要電力量との関係において明らかにした。実験を通して、PMは確実にDPFに捕捉され、誘導加熱によるDPFの再生を実現した。今後は、これらの成果に基づき、実用化に向けた船舶用の大容量DPFの開発を目指す。
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