絶縁強度が10号相当の中実がいしに、波頭長が0.3及び1.2μs、波尾長が50、8.5、及び、5μsの雷インパルス電圧波形を印加し、がいしの急峻・短波尾の雷インパルスに対する50%スパークオーバ電圧を求めた。印加電圧が正極性の場合、標準雷インパルスの場合と比較して、波尾長が8.5及び5μsの場合に、スパークオーバ電圧は各々3%及び6%増加した。印加電圧が負極性の場合には、標準雷インパルスの場合と比較して、波尾長が8.5及び5μsの場合に、スパークオーバ電圧は各々6%及び12%増加した。また、波頭長が0.3μsで波尾長が4μsの場合、標準雷インパルスの場合と比較して、正極性で14%、負極性で18%スパークオーバ電圧が上昇した。この結果、がいしの50%スパークオーバ電圧は、波尾長が5μsよりも短い領域で顕著に上昇することが明らかになった。 また、誘導雷により発生するスパークオーバ率の評価を行った。避雷器を200m以内の間隔で接地すれば、主たる検討対象は立ち上がりの急峻な後続雷撃となるが、この場合にもスパークオーバ率は6.9x10^<-4>件/km/年以下と直撃雷と比較すると小さい値となる事が判明した。直撃雷によるスパークオーバ率は、避雷器や架空地線を100m間隔で接地した場合にも、これらを200m間隔で接地した誘導雷によるスパークオーバ率よりも大きな値となり、高圧配電線の雷害対策を考える上での主たる検討対象は直撃雷となることが確認された。直撃雷の場合にも、多相スパークオーバ率は、第1雷撃よりも後続雷撃で大きくなることが判明した。
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