研究概要 |
本研究では電力システムにおける翌日最大電力負荷予測に対し、ファジィデータマイニングの1つである回帰2進木とファジィ推論を組み合わせた手法を提案した。提案する手法は、分類と予測の2つの機能から構成されている。分類に関してはファジィデータマイニングのファジ回帰2進木で入力データを分類し、他方、予測に関しては簡略ファジィ推論を用いて分類されたデータから予測モデルを構築する。従来、発電機の経済負荷配分問題や発電機起動停止問題を効率よく扱うためにも高精度な電力予測モデルが研究されてきた。近年、電力自由化が世界的に広まるにつれて、翌日最大電力負荷予測の役割は益々重要視されている。翌日最大電力負荷予測の精度が電力会社の電力市場における電力の売買の戦略に影響を与えるからである。電力システム運用の立場から、従来の手法では予測精度の向上に重点を置いているため詳しい入出力間の因果関係を十分に理解することはできないことが指摘されてきた。そこで本研究ではモデルの構造を明確にするためにファジィデータマイニングに注目する。ここで、ファジィデータマイニングとは大量のデータの中に隠されている有用な知識、ルールを発見するデータマイニングにファジィ推論を導入した手法である。ファジィデータマイニングによって、データ分類がより正確に実行されるため、発見された知識の精度向上が期待される。本研究では、ファジィデータマイニング手法の中で回帰2進木の分岐条件をファジィ化したファジィ回帰2進木を開発した。回帰2進木自体はモデルが木構造で表されるため視覚的に理解しやすい特徴を持つ。また、回帰2進木の分岐条件によるIf-then型のルールによってデータの特徴が明確に示されているため入出力の関係が直感的にわかりやすい。また、モデルの構造から予測や分類においてどの入力変数が重要であるかを知ることができる。そこで、本稿ではファジィデータマイニング手法の1つであるファジィ決定木とファジィ推論を融合したモデルを提案し、翌日最大電力負荷予測問題に応用した結果,良好な結果を得た。
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