高性能・高機能化を要求する時代の流れに伴い、各種家電機器・OA機器をはじめ電力容量の増加する産業用に至るまで半導休電力変換装置の応用が盛んとなり、これにともない高調波電流、特に低次成分による電力系統の電圧ひずみが増大し、電力用機器の障害が報告されるようになった。問題となっているこれらは主として整流画路が多いが、今後ともあらゆる分野での増加が予想される。以上の現況を背景に、本研究は電力系統における、半導体電力変換装置に基ずいて発生する高調波の低減化を目的としており、高調波問題の解決を目指している社会に対し新しい観点の指針を示すとともに、その研究の一翼を担って行くことを目的としている。 本研究では高調波低減を目的にパッシブ素子の共振を提案し、コンデンサCを種々変化させて、あるいは他のパッシブ素子のリアクトルの値を種々変化させて多くの実験的方式あるいは又理論的方式でも検討を行った。 従来より電力系統の高調波を低減する方式は、そのほとんどがいわゆるアクティブフィルタ方式であり、単体の機器より発生する高調波をほぼゼロとする高力率方式である。この方式は専用の制御回路が別に必要となる、などの問題もありコスト増等を考えると必ずしも充分な解決方法とは言えない。貴科研費による本研究方式では、コンデンサ容量やリアクトルの回路定数の選定だけにより、高調波発生特性を改善できることに特長があり、独創性を有しており、別紙の学会雑誌等で報告した。しかしながら、制御系も含めた方式での検討も今後の課題となろうが、本提案の方式は新たな制御素子は必要ではなく、極めて低コストで実現できるため利点が大きい。研究およびその結果の発表を重ね、社会的にも早急に本高調波低減方式のコンセンサスを得るべく更に検討を重ねて行きたい。
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