研究概要 |
近年,電力系統を構成する電源の多様化および半導体応用負荷機器の増大に伴い,電力系統の電圧波形がひずみ,更には電圧不平衡など電源環境が悪化し,配電系統に直接接続されるモータ応用機器に悪影響を及ぼし,問題となっている。一方,わが国の国内での総発電容量の約6割を占めるといわれているモータ応用機器の高効率化,省エネルギー化,すなわち,モータ単体の高効率化,省エネルギー化は,わが国の最優先技術課題の一つである。これらの背景から,本研究では,モータ,特に誘導電動機の損失の総合的,体系的な調査と実機による実験的検証を行うとともに,電源環境が誘導電動機の特性に及ぼす影響,並びに誘導電動機の低騒音,低振動化に対する基礎的知見を与えることを目的としている。平成13年度は,主として実験的検討を行った結果,以下の事項を明らかとした。 (1)市販の小形誘導電動機における損失を詳細に評価検討し,設計寸法などとの関連を明らかにするとともに,漂遊負荷損を4通りの方法で評価し,漂遊負荷損の評価方法による特徴などを明確にした。 (2)電源電圧不平衡時における誘導電動機の定常特性のシミュレーション方法の提案し,実機による検証を行った結果,提案した手法は極めて有用であることを明らかにした。 (3)正弦波駆動時におけるコンデンサモータの,電磁騒音の発生原因となる電磁振動に対して,詳細な実験的検討を行い,電磁振動の発生の特徴,斜めスロットによる低減効果などを明らかにした。 これら初年度の主要な成果は,各々電気学会回転機研究会,電気学会全国大会などで公表するとともに,研究代表者が委員長を務める電気学会「交流機の損失評価」調査専門委員会において,極めて有用な基礎的資料として提供した。なお,上記の電気学会回転機研究会で発表した資料を基礎として,現在,学会論文として取りまとめに着手している。
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