水面上のコロナ放電を利用したNOx処理リアクタにおける放電空間の生成ラジカルと促進される化学反応を検証するために、各種放電条件のもとで生成するオゾン濃度を測定した。さらにNOx処理特性と残存オゾン濃度を測定してNOの酸化とNO_2の水面への溶解過程を定量的に検証してNOx処理に有効なリアクタの電極配置と放電条件を検討した。 正コロナ放電空間では生成オゾン濃度は放電電流に比例しており、高濃度のオゾンを得るためには高い火花電圧が実現できる水平ノコ刃状放電電極が有効である。生成オゾン濃度とNOx処理後の残存オゾン濃度の測定からNOの酸化に消費されたオゾンを定量した結果、十分なオゾン濃度状態ではリアクタへ導入したNOxが全量除去処理されて余剰オゾンがそのままリアクタ出口に排出されることが確認された。負コロナではオゾン発生量とNOx処理量の関係が正コロナほど明確ではない。これはストリーマモードの正コロナにおける豊富なOHラジカルの生成が関係していると思われる。以上のことより次のことが明らかになった。 (1)放電空間で生成されるオゾン濃度と処理に必要なラジカル生成は、上部電極として水平に配置したノコ刃状電極を用いた正コロナ放電が有利である。(2)リアクタ出口のオゾン濃度を測定することにより放電電流を制御して不必要なオゾン発生を抑制しNOx処理に必要な最小の放電電流が設定できる。
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