水面コロナリアクタによる各種排ガスの処理実験でオゾンおよび反応生成物の測定から、プラズマ化学反応を利用した燃焼排ガスのNOx処理において、オゾンとOHラジカルの存在が重要であることが確認された。また、自動車トンネル内空気浄化用二段式電気集塵装置の開発のために、荷電部の各種の放電電極についてその正および負コロナ放電特性を測定して低濃度のダストの荷電に最適な形状、配置を検討した。処理風速10m以上の高流速に対する機械的強度と、両極性において安定したコロナ放電特性をもつノコ刃状電極を採用した。特に、刃先の傾斜(あさり角)の小さいノコ刃電極は、正コロナの火花電圧が高く、安定したストリーマ状の放電が得られるため、NOx処理のためのプラズマリアクタの機能を集塵装置に付加する場合には有利であることがわかった。これらの成果を参考にして試作した実験用モデル集塵装置によるディーゼル排ガス中のダストおよび窒素酸化物の処理実験を各種条件のもとで行った。集塵では負コロナによる荷電が有効で一定の条件の下ではほぼ100%の集塵率が得られるのに対して、正コロナの場合には集塵率が安定しない。しかし、NOx処理においては正コロナの場合にのみその有効性が確認された。これらの結果とイタリア・パドバ大学における関連実験の分析から、低濃度排ガスや汚染空気のダストとNOxの総合処理に適したリアクタの構成と放電の最適条件を検討して、今後の開発計画の打ち合わせを行った。一連の研究成果は英国エジンバラで開催された国際会議「ELECTROSTATICS 2003」等において発表した。
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