研究概要 |
研究課題は,燃料電池等のエネルギー機器に利用されるポリイミド,セラミックス等の高温絶縁材料の絶縁性能評価装置を開発することである。この課題を達成するための平成13年度の研究計画(課題)を以下のように解決した。 1.高温空間電荷分布測定装置開発 (1)研究課題の内の測定温度範囲を200℃まで拡大する技術を開発した。高温での測定を可能にするために,申請した電気炉を購入し試料を所定の温度条件にする電極系を製作した。 (2)装置では,空間電荷分布を測定するために試料にパルス電圧を試料に印加する必要があった。このため配線をなくしコンデンサと抵抗が電極に接続されなければならない。従って,200℃までの測定を可能するためには耐圧が50kV以上,200℃以上の温度でコンデンサと抵抗を冷却する技術開発をしなければならなかった。そこで,エアコンプレッサを購入し,石英パイプにより絶縁を保ち冷却する装置開発を行った。 (3)パルス電圧印加によって発生する空間電荷分布情報を持つ音波を検出するために圧電素子を電極に設置している。高温で安定して音波検出をおこなうために検出部を冷却する必要があった。この課題については,電極内部に冷却水層を作る方法を検討した。具体的には,電極と冷却水層の音響的性質の違いにより起こる音波現象について解析する必要があった。これから音波伝搬の数値解析が新しい技術として開発できた。 2.空間電荷分布測定による絶縁材料評価方法 評価方法については,これまで研究をもとに空間電荷分布が印加電圧パターンや温度に対して安定性(線形から非線形になる)点を定量化することで評価できることを見出した。 最後に,高温での電極の酸化等による装置の劣化の問題が未だ解決していない。これが今後の問題点となる。この点については,高温となる装置電極等を真空にすることで酸化を防止し,かつ,必要な電極と試料の絶縁を確保するよう装置に改良を加える。
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